2015年8月22日土曜日

2015/8/22合同発表会

こんにちは、幹事長の うえ です。


2015年8月22日(土曜日)に早稲田大学の歴史文化研究会さんと考古学研究会さんと合同の発表会をしました!
今回の発表会ではそれぞれのサークルの紹介や普段おこなっている研究発表などをおこないました。
参加者は25名で地理研は12名が参加しました。


まず初めに、歴史文化研究会さんの発表で、大正デモクラシーにつながる明治期の政党内閣についての発表。明治期の政党内閣の変遷と、その意義について丁寧な解説でわかりやすかったです。
明治期の政党内閣はその政策よりも、「政党内閣が誕生した」というその存在自体に次の大正デモクラシーにつながる意義があったのだというお話でした。


次に、考古学研究会さんの発表で、
①考古学研究会の紹介
②考古学についての紹介(考古学概論)
③都市開発と景観・遺跡・まちなみ保存について
の発表でした。非常に洗練されたパワーポイントのスライドで、考古学と歴史や地理とのつながりもよくわかる説明でした。考古学とは何なのかを知れたのはもちろん、歴史的景観の保存と地域づくりについて、地理学でも重要なテーマについての話でおもしろかったです。



地理学研究会では、
①地理学研究会の紹介
②早稲田の地誌
③東京都市圏の都市化ー関東南西部を事例に―
④一都三県における風俗宿泊施設の立地分析
を発表しました。

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②早稲田の地誌 では、
 早稲田がどのような地形的特色のもとにおかれているかを説明した後、早稲田地域の台地、崖線、低地それぞれの特徴を説明しました。
 早稲田は 武蔵野台地を神田川がけずってできた河岸段丘の低地、および崖、台地上にある地域です。早稲田大学周辺では神田川が一番低い所を流れ、早稲田大学敷地内で大隈講堂、16号館と次第に高くなっている西高東低の地形に位置しています。すなわち、早稲田大学のキャンパスは河岸段丘の斜面に建てられたキャンパスなのです。とくに、神田川近辺の南向き斜面は早稲田大学が立地する北向き斜面に比べ非常に急です。
急斜面の神田川北側の胸突坂
  武蔵野台地とは青梅を扇頂として、多摩川が流路を変えつつ土砂を運んでできた扇状地で、扇状地の始まり地点(扇頂)は青梅付近で東に向かうにつれ低くなっています。この武蔵野台地がつくった他の地形を知りたい人はぜひ地理学研究会に来てください!
  また、河岸段丘とは川が侵食し地面を削ってできた地形です。浸食面が隆起する等の要因により階段状の地形が形成されます。この台地上では地下水面が深く、水はけのいい地となり、段丘崖からは湧水がわき出やすく、低地部分は地下水面が浅く、水はけの悪い地になります。また、低地では水が集中し洪水が起きやすいため、地価も低かった。一方こうした水はけの悪さは米の生産に適しており、水田に多く利用されました。これに対し、台地上は水はけがよかったため畑や果樹園に使われることが多かったです。東京のほかの河岸段丘がつくり出した地形を知りたい方も是非来てみてください!!

説明をする副幹事長
  早稲田地域の土地利用の特徴について食いつまんで説明していきます。
 早稲田地域の低地はかつて水はけが悪く、水田として利用されていた。現在では低地は洪水対策を施されて印刷業が多く立地し、宅地化も進んでます。
神田川沿いの印刷工場
早稲田地域の崖線では、湧水が多く、その湧水を利用してかつては諸大名の下屋敷として利用されていました。現在ではその下屋敷は椿山荘や新江戸川公園に利用されています。
椿山荘
早稲田地域の台地の上は、かつて、畑として利用されていた以外は特に使い道はありませんでした。しかし、明治時代に入り、広い未利用地を背景として陸軍の演習場として利用されるようになり、現在では早稲田大学理工キャンパスやその他研究機関や都営住宅として利用されています。

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③東京都市圏の都市化ー関東南西部を事例に― では、
東京という都市圏がどういう経緯で郊外に広がり、どういう状態なのか、どういう課題があるか、について、ややつまみ食い的に発表しました。

 大都市圏の定義(国勢調査による)を説明しました。
 大都市圏は,「中心市」及び「周辺市町村」によって構成され、中心市とは、東京都特別区部及び政令指定市であり、周辺市町村とは、大都市圏の「中心市」への15歳以上通勤・通学者数の割合が該当市町村常住人口の1.5%以上あり、かつ、中心市と連接している市町村であることを確認しました。関東大都市圏は、群馬県館林市、山梨県大月市、静岡県熱海市あたりまで広がっているんです!
 また、東京都市圏の広さを確認しました。名古屋や大阪よりも広い範囲から通勤・通学者を集めています。長野県軽井沢町や栃木県那須塩原市にある程度通勤・通学者がいるというところが面白いですね。

 続いて東京の歴史についてです。近代化した明治の東京には多くの人が労働力として集まっており、下町と呼ばれる低地地域は過密状態が進みました。1923(大正12)年、関東大震災が発生すると、過密地域である下町は火災などの大きな被害に見舞われました。一方、山の手と呼ばれる台地の地域では大きな被害もありませんでした。当時、洗足を住宅開発していた渋沢栄一らの田園都市株式会社は大震災を機に、山の手地域の開発を進めるようになりました。東急電鉄の前身の会社、目黒鎌田電鉄や東京横浜電鉄が次々と鉄道を開業させ、広々とした住宅地が山の手地域に開発されていきました。小田原急行電鉄も新宿~小田原間、大野~片瀬江ノ島間を開業させ、多摩川より西側を中心に都市化が進みました。江ノ島線沿いに「林間都市」が計画されましたが、当時としては都心から遠かったからか事業は頓挫しています。
 戦後、多くの人々が「金のたまご」などと言われ東京に流入し、結婚し、家庭を持つようになると、広い土地を求め郊外に移動していきます。以前巡検を行った多摩ニュータウンも高度経済成長期に住宅需要にこたえるために計画されました。初期の公団住宅はエレベーターがついていないものもあり、現在では高齢化が進んでいますが、リノベーションが図られ、エレベーター付きの高層の住宅棟に建て替えることで、若い世代の定着を狙っています。

 ここで、東京都と神奈川県の人口増加率を見てみます。(合併が行われた地域など一部データが欠損しています。ご了承ください)






ここでは、1980~1990年と2000~2010年の人口増加率の図を埼玉大学教授の谷謙二先生が作成・公開しているGIS(地理情報システム)ソフト「MANDARA」を利用して発表者が作成しました。上の図は都心の人口が減少し、都心から40~50km程度離れている郊外地域は人口が増加しているのに対し、下の図では都心の人口が増加し、ほとんどの郊外地域では微増にとどまっていることがわかります。1990年代頃までは、都心の人口が減少し、郊外に人口が集中する「ドーナツ化現象」が見られ、2000年代に入ると人口の「都心回帰」が進んでいることがわかります。このことは、ウォーターフロントや都心地域で再開発が行われ、タワーマンションが建てられていることからもわかります。

 現在の東京では多くの問題に直面しています。人口過密、少子高齢化、待機児童、災害対策、空き家、東京の国際的地位の低下などなど……都市の課題はさまざまです。地理学を学ぶと少しずつ都市の課題が浮き彫りにされていきます。

 他サークルさんからGIS(地理情報システム)についての質問、感想をいくつかいただきました。地理学では当たり前になっているGISですが、他分野ではあまりなじみがないようでした。GISについてわれわれもさらなる勉強が必要ですが、他分野の方も研究等の際に利用すると研究の幅が広がると思いますので、活用をお勧めしました。交流によって、他分野の研究の仕方、方法論について情報交換でき、興味深く思いました。




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④一都三県における風俗宿泊施設の立地分析 では

人文地理学における「空間的視点」のメインテーマである立地論を「一都三県の風俗宿泊施設」の分析から解説していきました。

そもそも立地論とは、ある施設や現象がどこに立地するのか分析することです。立地の空間差はそのまま地域差・空間現象に直結するため、人文地理学の重要なテーマになります。
集積とは一つまたは複数の産業が一か所に集まることです。工業においてはインフラの共同利用・減税等の優遇措置・イノベーションの創出、商業においては知名度の向上・客の増加・ブランド化などの外部経済効果が生まれます。集積は立地論において重要な課題です。
地理学における風俗宿泊施設の先行研究として

  • Ⅰ:水上敬太 2009.都市郊外における風俗宿泊施設の立地とパート従業員の雇用システムの成立―京都南インターチェンジ付近を例として―.立命館地理 21:77-88
    • ミクロな単位での集積過程と、従業員の雇用の実態調査:産業の地域社会の解明
  • Ⅱ: 阿部一 1991.景観・法令・建築―風俗宿泊施設からみた人間と景観の相互関係―.地理学評論 64(4):265-279
    • 景観から見た地域社会と風俗宿泊施設の相互関係:空間現象の現れである「景観」を読み解く

の二つがありますが、より大きな地域での一般的な立地研究は、ある意味“前提条件”とされて研究がなされておらず、今回の合同発表会で発表することにしました。

風俗宿泊施設の立地分析から、

  • 風俗宿泊施設は集積している場合が多いと考えられる→産業集積の解析につながるのではないか?
  • 他の産業の立地の解析につながるのではないか?
  • 地方都市の景観の議論につながるのでは?
  • 東京都市圏の都市構造がわかるのではないか?
ということが期待されます。
では、具体的な方法としては、
  • 「iタウンページ」<http://itp.ne.jp/?rf=1>にアクセスして、次のキーワードにより風俗宿泊施設のデータを検索:『ラブホテル』・『○○県』
  • 検索されたデータをカンマ区切りテキストファイルとし、東京大学空間情報科学センターのCSVアドレスマッチングサービス<http://newspat.csis.u-tokyo.ac.jp/geocode-cgi/geocode.cgi?action=start>に送信し、世界測地系のX座標とY座標を取得。
  • 東京大学空間情報科学研究センターから返信されたデータをQGISで表示。
  • 背景の地図として国土数値情報の鉄道・行政界・河川・鉄道駅・高速道路・道路などを表示。
という作業をして、風俗宿泊施設の立地を地図化しました↓
おおー ←何言ってんだ

東京都では

  • 国立府中IC以東は鉄道の駅周辺に集まる:池袋・新宿・渋谷・五反田・新橋・湯島・鶯谷・日暮里西日暮里・大塚・浅草・錦糸町~亀戸・新小岩・小岩・大森・蒲田など
  • 国立府中IC以西は八王子駅・立川駅・福生駅を例外として道路沿いの立地となる:16号・八王子IC・国立府中IC・多摩湖など
  • なぜか足立区・江戸川区には散在

埼玉県では

  • 大宮や西川口駅周辺に集積。
  • その他は基本的に主要幹線道路沿いに立地する:17号・16号・4号・関越道・407号(圏央道)・東北道:埼玉県はほかの県に比べてモータリゼーションが進んでいるのか??


千葉県では

  • 常磐線・船橋・千葉の駅周辺に集積
  • その他は道路沿い、特に国道16号・東関東道・八潮IC周辺に集積。


神奈川県では

  • 横浜駅・桜木町・伊勢佐紀町、綱島、平塚、藤沢、川崎、町田に集積
  • 道路沿いにも立地しているが、千葉・埼玉に比べて鉄道への依存が大きい:東名高速・246号(厚木JCT・町田IC・善波峠)、第三京浜(都筑区)、湘南・三浦半島:海岸沿いの国道沿いに多い(観光客?)、小田原の早川

という各県の立地分布がわかりました。
全体としては

  • 幹線道路沿いに立地する傾向がある。
  • ただし、東京23区ではターミナル駅周辺に集積し、都心周辺部でも鉄道駅周辺に点在する。
  • 郊外部・非都市部では一部の主要駅の周辺に集積する。それ以外はロードサイドに立地し、特に高速道路や主要国道沿いに集積する。

ということがわかりました。

もし万が一今後も続けるなら今後の研究課題として、

  • 正確なデータ:タウンページに乗っている施設が一部である
  • 立地の客観的な分析と根拠:ロードサイド型か駅などによるのか:より高価なGISソフトを使って定量的な評価をしたい
  • 他地域との比較
  • 遊郭などの歴史的背景の影響が大きいことが分かった、場所ごとに様々な影響の具合を評価しなくてはならない

という課題があります。え、研究続けるの?!

長くお話してきましたが、分析の素材はともかく、地理の「空間的視点」というのは、このように「どこに、どう、なぜ、分布しているか」という視点です。これが伝わったならば幸いです。

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下落合駅近くの会場:地域センターから高田馬場駅まで3サークルで歩いたのですが、他の2サークルを置いてきぼりで妙正寺川放水路・崖線・染め物産業で盛り上がる地理研(^^;
やっぱり地理研は外に出ないと元気でないのかな・・・?(笑)

今回の合同発表会では、歴史学や考古学といった学問の視点、また丁寧なレジュメやスライドや発表会そのものの内容など、地理研にない要素をたくさん参考にさせていただき、楽しく交流できました!
交流会を企画してくださった2サークルさんありがとうございました!今後ともよろしくお願いします!

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